日大の“ドン”と呼ばれた男は、妻に「ふざけんじゃないわよ!」と一喝されるとおとなしくなったという。現金授受の場面に同席し、税務申告も引き受けた“女帝”こそ、日大事件の真のキーパーソンだ。彼女の来歴に迫る。

 駿河台にある日本大学病院の特別室。ここに入院していた日本大学の田中英寿前理事長(75)が東京地検特捜部に所得税法違反の疑いで逮捕されたのは11月29日のことだった。

 

 地検の係官が声を掛けると、田中氏は取り乱すことなく指示に従ったという。

 しかし、連行される際、田中氏はひと言だけ、語気を強めてこう言い残した。

「私が逮捕されたことは絶対に妻には言わないでくれ」

 田中氏の妻、優子氏は、9月8日に特捜部が田中氏宅を家宅捜索した後、階段から転落。既往歴があった頭部に再び衝撃を受けたことで、一時は深刻な状況に陥っていたとされる。彼女は田中氏と同じ日大病院の別の部屋で入院生活を送っていたが、二人は連絡を取り合ってはいなかった。

 

 地検側は田中氏の哀願を受け入れ、妻に逮捕の事実を伝えなかったが、知らないはずの優子氏に、その後、異変が起こった。突如として喚き散らし、部屋の机をひっくり返したうえ、物を投げて壊すなど、手が付けられない状態に陥ったのだ。それはまるで、連れ合いが居なくなったことを本能で察知し、騒ぎ立てているようでもあった。生き別れを悲しみ、狂乱する姿は、日大を支配してきた歪んだ夫婦の肖像そのものだったーー。

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source : 週刊文春 2021年12月23日号