「不適切な商売をやっている企業と調べなかったのは浅はか。厳重注意をした」
12月15日の会見でそう語った日本維新の会の松井一郎代表。処分を受けたのは、小誌が11月11日発売号などでマルチ企業との関わりを詳報してきた同党の伊東信久衆院議員(57)だ。
「不適切な商売」を行っていたのは、化粧品などのマルチ商法を展開する「ITEC INTERNATIONAL(アイテック)」。消費者庁から今年8月に6カ月の取引停止処分を受けている。
小誌は、現役医師でもある伊東氏が同社の主力製品「DDS MATRIX エキス」の開発・監修者と紹介されていたこと、さらに税金で運営される議員会館でも関連する講演を行っていたことや、18年以降、少なくとも6回講演し、毎回10万円の報酬を受け取っていたことなどを報道。伊東氏自身も事実関係を認め、報酬は返金したとしている。
だが、問題はそれだけに留まらない。伊東氏に“利用”された中には、あのノーベル賞学者もいたのだ。
「京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授です。製品に再生医療技術を利用していると謳うアイテックはセミナーなどで、iPS研が開発に関与しているかのような虚偽の説明をしていた。その宣伝に説得力を与えていたのが、伊東氏の講演です」(アイテック元会員)
小誌は19年7月10日、名古屋国際会議場で行われたアイテックの全国大会で伊東氏が講演する様子を収めた動画を入手した。「MATRIXエキスの開発者の一人」と紹介されて登壇。序盤から山中氏との“親密な関係”を強調していた。
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source : 週刊文春 2021年12月30日・2022年1月6日号