神聖なるもの|杉本昌隆

師匠はつらいよ 第38回

杉本 昌隆
ライフ ライフスタイル

「棋力の上達には良い駒を持つことだ」

 かつて大山康晴十五世名人はファン向けにこう語ったという。

 良い道具を持てばそれを大事にする気持ちも湧く。そこから技術の向上にもつながる。このような教えなのであろう。

 手軽さ、簡単さが好まれる現代、時間を掛けて「本物」に出会うことが少なくなっている。それだけにこの言葉が心に染みるのだ。

 良い将棋盤の材質は本榧(ほんかや)で、厚みは五寸(約15㎝)以上。値段も100万円を超えるものまであるが、流行り廃りがない分、一生ものである。

 駒の材質はツゲの木が良いとされ、駒の生産地として有名な山形県天童市のシェアは、90%を越える。

 駒師が一枚ずつ駒に文字を彫り、そこに漆を入れる。漆の重ね塗りで文字が駒より盛り上がる「盛り上げ駒」はもはや芸術である。

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source : 週刊文春 2022年1月27日号

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