絶体絶命だった。捲土重来を期した昨季、開幕から絶不調が続き受けた戦力外通告。日本球界復帰も報じられるようになった。しかし—。
それはいままでとは全く違う感覚だった。
「僕がタイミングを合わせにいくのではない。ピッチャーの投げたボールが僕に合わせてくるような感じでした」
筒香嘉智(30)は覚醒の瞬間をこんな言葉で振り返った。
2021年8月16日(日本時間17日)。メジャー3球団目として移籍が決まったピッツバーグ・パイレーツで、初めて試合に臨んだロサンゼルス・ドジャース戦だ。1点を追う9回1死から筒香は代打に起用された。マウンドにはメジャー屈指のクローザー、ケンリー・ジャンセンが立ちはだかる。その初球に覚醒の感覚はやってきた。
「1球目を見た瞬間にその感じがあったので『打てないわけないな』って。不思議とそんな感覚でした。で、ツーストライクに追い込まれましたけど、何も怖くない。『ああ、打てるな』と
ずっと思っていました」
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source : 週刊文春 2022年1月27日号