『もしもこんな職業があったら』バカリズムの新たな“発明”とは

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てれびのスキマ
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「これアカンやろ」と語気を荒げ店員を呼び出しクレームを入れる。

「こんな美味しいもん出されたら、もう昨日何食ったか忘れてしまうわ」

 おすすめ商品を普通に褒めてもなかなか信用させることはできない。ならばあえてクレーマーのようにしながら褒めれば購買意欲を刺激できるのではないか、とニッポンの社長が提唱したのが「褒めクレーム師」だ。こうした「もしもこんな職業があったらどうなるか」を検証するのがバカリズムがMCを務める『もしも師』(テレビ朝日)だ。昨年4月に続き正月特番として第2弾が放送された。

バカリズム ©時事通信社

 マヂカルラブリーが提案するのは「うんこ飽きさせ師」。幼い子どもたちはやたら「うんこ」を面白がる時期「うんこ期」がある。そんな子どもたちに、野田クリスタルがしつこく「うんこ」をテーマにしたショーを見せて飽きさせるというもの。最初は「うんこカー」に群がり、「うんこ手品」に絶叫しながら爆笑していた子どもたちが、途中から不機嫌な顔になっていき、最後には思惑どおり「帰れ」コールが起こる。帰宅後、自宅で親から感想を聞かれ「うんこは飽きた」「汚い言葉を使うのはよくない」と子どもが答えるほど。本当に教育に応用できるのではないかと思う検証だった。

 バカリズムは「隠して返す師」を提唱する。自分の大事なものをなくすと悲しい。そのなくしたものが戻ってくると喜ぶ。「なくす前より戻ってきたあとの方がテンションが上がっている」とグラフにしてプレゼンし「その差額分を意図的に作ってプレゼントすると下手なプレゼントよりも嬉しい。だってスマホをなくした人が今欲しいものはなくしたスマホなんだから」ともっともらしく語る。説得力抜群だが底意地の悪さが漂うのがバカリズムらしい。

 それをバイク川崎バイクやトム・ブラウンみちおにスマホを一旦隠して戻すドッキリを仕掛けて検証する。さらにJOYにはレストランのハンガーラックにかけたお気に入りのアウターを隠して返すドッキリ。隠して15分後、「俺のアウターは?」と気づくと店内の電気が消え、ケーキが店員より持ち込まれお祝いされる。このタイミングで妻から「プレゼント」として包みが渡される。その中にはアウター。それを開ける様がバカバカしくて面白い。「な、なにこれ、怖っ!」と驚きながらもお気に入りのアウターが戻ってきて嬉しそう。

 どの職業もバカバカしい。けれど人間の心理を巧みについている“発明”ばかり。また、バカリズムはコントの世界にひとつのルールをつくり展開していく、いわゆる「システムコント」を得意としているが、この番組は言ってみれば「システムバラエティ」。番組の形式としても“発明”だった。

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source : 週刊文春 2022年1月27日号

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