私と「週刊文春」との出会いは、JALの国際線CA時代。機内に入るなり、「文春ね」という方も多く、読み終わった方から回収しては、たびたび配りなおした記憶があります。
「事件記事」「著名人のコラム」「ファッション記事はほぼ無し」。文春に対してはそんなイメージだった私が、ナント! ご縁をいただき、今回から毎週コラムを書くことになりました。これまでに本を執筆したことはありますが、雑誌連載は初めての経験。何事にも緊張しにくい私ですが、コラム執筆陣の錚々たる顔触れに一瞬不安にかられました。しかし、日々私が仕事をするなかで感じていることをプロとして一人でも多くの人にお伝えしたく、また、コロナ禍だからこそ厳選した服だけ持っていただけるように書きます。
さて、前置きが長くなりましたが、私が人生をかけて取り組んでいる仕事、それは「パーソナルスタイリスト」。個々の生き方や嗜好、ものの見方、考え方のスタイルを洋服で構築・可視化する仕事です。スタイルを象徴する服を、私は「名刺服」と呼んでいます。たとえば私自身の現時点での名刺服は「唯一無二な形の服&大ぶりのピアス&金髪一つ結び」。最初のテレビ出演時、自分らしく、記憶に残るために考えたスタイルだったのですが、反響が大きく「どこにいても霜鳥さんとわかる」とコメントを頂くスタイルとなりました。私の例からもお分かりいただけるかと思いますが、外見は意志を外に表現する最強の手段なのです。
私がこの仕事を始めるきっかけになったのは、CA時代に受けた人生最大のカルチャーショック体験でした。長崎の片田舎で育った私は、仕事で行った海外で見かける人々はなんと個性的でその人らしい服装をしているんだろう!と痺れてしまったのです。
団塊ジュニア世代の私が高校生だった当時は、日本では「渋カジ」ブーム最盛期。定番の柄や、配色。お揃いということが一つのトレンドでした。そのトレンドの中にいた私にとって、海外の人々の、違いを認め合う自由な装い方が眩しかったこと! 個性を楽しみつつもTPOを理解し、その場その場を楽しんでいることに衝撃を受けました。
自分もこうありたい、そして「スタイル」を楽しむ装いを人にも伝えたいと思い、それを仕事にしていた師匠に弟子入り。その後独立して現在に至ります。
15年間で2万人以上の方のスタイリングをさせていただきました。カウンセリングからショッピング同行、ご自宅のクローゼットチェックに美容院同行、メイクレッスンまで全国を飛び回る日々です。
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source : 週刊文春 2022年2月10日号