はや2月も下旬だが、毎年、この季節に過去を深く振り返り、現在を想うイベントがある。今年もそうだった。バレンタインデーのことである。
将棋界は女性が少ない業界。棋士は基本的に自宅にいることが多いため、職場で女性職員からチョコレートをもらう……なんてことも殆どない。
と、あらかじめ言い訳をしてしまったが実は私、若かりし日に女性からチョコレートを貰った記憶が殆どない。本当にない。なので、当時はこのイベントを冷めた目で見ていた。
(女性だからチョコをあげるとか、男性だから貰うとか全くけしからん。大体こんな日があるから悪いんだ)
今はジェンダー平等が謳われる時代、当時から私は最先端であったなあ。ハハハ……ハァ……。
月日が経ち現在、将棋界を取り巻く空気が一変している。それはもちろんあの棋士のおかげである。
2月に入ると複数の若手棋士宛にチョコが将棋会館に届く。その主役はもちろん藤井聡太竜王。毎年段ボール一杯、持って帰れないほど届くという。
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source : 週刊文春 2022年3月3日号