「ド貧乏だったよ。バイトをしながらギリギリの生活で芝居をやっていた。あいつは昔から真面目で、一緒に飲んでても『明日、朝4時から築地のやっちゃ場(青物市場)でバイトだから』って帰っちゃうんだよね」
そう話すのは松重豊(59)の旧友で、世田谷区経堂のバー「アナログ」の店主、奥山浩司氏だ。
日本の時代劇を支えてきた“大部屋俳優”伴虚無蔵を演じている松重。ひなたを映画村のバイトに誘い、師匠的な存在として物語のキーマンとなっていく。
アクション指導の中村健人氏が明かす。
「モデルは『5万回斬られた男』と呼ばれた故・福本清三さん。福本さんは礼節を重んじる方でしたので、松重さんは『こうした方がいいよね』と、道場の出入りの際に一礼することを提案してくださいました。立ち回りに関しては『言ったとおりにやりますので』と」
着流し姿で暮らし、侍言葉を使う変わり者の虚無蔵は、いまや松重の新たなハマリ役となりつつある。
松重のこれまでの代名詞といえば、「孤独のグルメ」(テレ東系)の井之頭五郎役。2012年に始まった同シリーズはすでにシーズン9まで放送済みだ。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2022年3月17日号