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ロシア軍 苦戦を生んだ「顧問」「誤爆」「カネ」

特集 ウクライナ侵攻「罪と罰」

「週刊文春」編集部
ニュース 国際

「プーチンは今、怒りと苛立ちを感じている」

 米CIA長官は3月8日、米議会でこう証言した。ウクライナ侵攻開始から3週間。ロシア軍はなぜ想定外の苦戦に陥っているのか?

爆撃されるキエフ

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が語る。

「ロシア軍が短期決戦をイメージしていたのは間違いありません。米国のインテリジェンスでも、ロシア軍は侵攻から数日でウクライナの首都・キエフを陥落させるつもりとのことでした」

 苦戦の理由について、元自衛艦隊司令官の香田洋二氏はこう解説する。

「プーチンの情勢判断の見通しが甘くロシア軍は準備不足でした。(14年の)クリミア併合の成功体験を引きずって、ウクライナ軍の能力を客観的に評価し対策を立てようとしなかった」

 クリミア併合は電光石火だった。サイバー攻撃や電子戦を仕掛けると同時に、潜入させておいた特殊部隊が、ロシア系住民は迫害されるというニセ情報を流した。非軍事的手段と軍事手段とを組み合わせたハイブリッド戦を巧みに展開することで、わずか1週間余りで、ほぼ無血で併合に成功したのだ。だが今回は同様の作戦が不発に終わった。

「背景には、米国からの支援がありました。クリミア併合の際の敗因の分析から、ウクライナ側には、制空権確保やロシア特殊部隊および戦車部隊への対応に弱点があることが分かった。そこで、昨年から米軍がウクライナ陸軍に対し、2000人弱とみられる軍事顧問団を派遣し、訓練していたようなのです」(同前)

 ウクライナ軍が精強さを増したのに対し、力が弱まっていたのがロシア軍だ。

「ロシア軍は当初、ベラルーシとキエフを結ぶ国道沿いを爆破し、アンテナ等の通信ネットワーク網を破壊しました。普通は一部のアンテナを残しておき、敵地での自軍通信ネットワークとして再利用するのですが、作戦が練られておらず、ロシア軍は大半を破壊し、ネットワークを機能させることが出来なくなってしまった。対するウクライナ側は通信網が破壊されるのもあらかじめ想定し、米軍の助言も得て代替手段を用意していたのです」(同前)

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source : 週刊文春 2022年3月24日号

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