週刊文春 電子版

芸能界の「性加害」 名脇役はこうして若手女優を蹂躙した《被害者が連続告発》 

「週刊文春」編集部

PICKUP!

エンタメ 芸能 映画

「性被害」を題材にした映画「蜜月」。小誌は先々週号、先週号で同作の榊英雄監督(51)に「性行為を強要された」と語る女優らの告発を報じ、「蜜月」は公開中止に。だが、女優を蹂躙したのは榊氏だけではなかった。

映画「蜜月」での榊氏(同作HPより)

 先々週号で女優のA〜D子さんが榊氏から性行為を強要された過去を告白した。榊氏は4人中3人との関係を認めた上で合意の上だと主張。しかし告発は止まず、先週号ではE〜G子さんの3人と元交際相手の女優が被害に遭っていたと語る男性の証言を報じた。

 その後も小誌には告発の声が続々と寄せられ続けている。今回新たに二人の女優が被害を訴え出た。

 女優のH子さんは2011年1月、榊氏が講師に名を連ねるワークショップに参加した。

「打ち上げの席で榊が横に座り、突然下着の中に手を入れてきて局部を直接触られました。拒んだら仕事に差しさわりがあるし、当時は気に入られ、特別視されていると勘違いをしていた」

 その後、食事に誘われた。場所は下北沢の焼き鳥店。

「店を出た後、マンションの階段の踊り場に連れて行かれました。下着を脱がされ、性行為に及びました。避妊はされず、壁に向かって射精して精子がドロッと垂れていた場面を鮮明に覚えています。行為は嫌でしたが、拒んだら仕事に影響が出ると思うと、拒否はできなかった」

 だが結局、榊氏から出演の依頼はなかった。

 女優のI子さんも13年2月に榊氏が主催するワークショップに参加した。

「全2回のワークショップが終わった後、渋谷の居酒屋に誘われました」

 1時間ほど飲食し、店を出た直後のこと。

「いきなりマンションの物陰に連れ込まれた。抵抗すると、壁に追い詰められ『じゃ、これだけ』と自分のパンツを下ろして、無理やり咥えさせられた。殺されると恐怖を感じ、口で済むなら、と応じてしまった」

「井筒監督に紹介してやる」

 この二人が訴えたのは榊氏からの被害だけではなかった。異口同音に“名バイプレイヤー”の名を打ち明けたのだ――。

 木下ほうか(58)。大阪府出身で高校時代から自主映画制作にのめり込み、16歳のとき井筒和幸監督の「ガキ帝国」で俳優デビュー。大阪芸術大在学中に自らの劇団を立ち上げた。その後、吉本新喜劇に約3年在籍したが島田紳助から「役者をやりたいなら東京に行くべきやろ」とアドバイスされ上京。3月21日にレギュラー放送最終回を迎えた「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ)では「イヤミ課長」役で人気を博し「はい、論破」という決め台詞は15年の新語・流行語大賞にもノミネートされた。NHKの朝ドラ「なつぞら」(19年)や大河ドラマ「麒麟が来る」(20年)にも出演し、4月5日から放送開始のNHKの連続ドラマ「正直不動産」では主演の山下智久の上司役を務める名脇役だ。H子さんが話す。

木下ほうか(NHKのHPより)
木下が出演するNHKドラマ「正直不動産」(NHKのHPより)

「女優を始めたての頃、イベントスペースでバイトをしていた。08年5月、私が企画したイベントに木下が出演したのが出会いです」

 以後、頻繁に映画監督や俳優などが集まる飲み会に誘われるようになった。

「先輩からの呼び出しは絶対だ、という古いタイプ。自慢話や人を馬鹿にして笑いを取る話が多く、気が進まなかったが、業界への伝手が欲しくて参加していた。井筒監督に今度紹介してやるから、といった話もありました」

 実は木下と榊氏の関係は深い。榊監督作品に木下は7作出演しており、映画やドラマでの俳優同士としての共演は12作にも及ぶ。

「プライベートでも親交がある盟友です。木下のブログには榊の娘を抱く様子や〈榊の指導演出は的確で厳しく、好感が持てた!〉と称賛する記述もある。木下は“榊組”の一員なんです」(映画関係者)

 H子さんが榊氏と出会った11年のワークショップには、講師ではないのに木下も姿を見せていた。

「台本を用意され、次回までに演技の準備をしてくるようにと課題が多かった。その頃は全然演技が上手くできなくて焦っていました」

 つけ込むように木下はH子さんに連絡した。

「台本の相手役をやってやるよ。うちに来(き)いや」

 呼ばれたのは中央線沿線の木下の自宅だった。

「最初は二人で台本読みをしていたのですが、『なんでできへんねん』とネチネチと叱られて。悔しくて泣き出してしまったのです」

 すると、木下は一転、慰めるような優しい声音で「もういいから。こっち来いや」と寝室に連れていった。木下はおもむろにパンツを下ろすと、H子さんの顔先に性器を突き出した。

「なし崩し的に口での行為を迫られました。抵抗したらもっと酷いことをされるかもしれない。要求に応えて済ませた方が安全だと思ってしまった。『早くこの時間が終われ』と頭の中で繰り返していました」

 一方のI子さんは、大学に通いながら女優業をスタートさせた11年程前に、業界人が集まる飲み会で木下と知り合った。

「それからよく飲み会に誘われたのですが、ある飲み会の帰り、別れ際に突然キスをされそうになりました」

 必死に拒んだI子さん。すると後日、木下からこんなメールが来たという。

「期待して、これから育ててあげようと思っていたのに残念です。失望しました。あなたの根性はこのくらいなのですね」

 右も左もわからないI子さんに木下は俳優兼プロデューサー兼監督の肩書をチラつかせながら迫った。

「特定の監督と繋がっているとその監督の作品にしか出られない。でも俺と繋がれば、いろんな監督を紹介してやれる」

 ある日、二人で飲んだ帰り、「飲み直そう」と木下の自宅に呼ばれた。そこで性行為を迫られた。

「私とは親子ほど歳が離れていますし、気持ち悪かった。でも力では到底勝てないし、顔が広いので、拒んだら悪い噂を流されるかもしれない。『みんなやってる』『これを断るようなメンタリティじゃこの世界でやっていけない』と言われて洗脳されたというか、断れなかった。なんで役者として演技をしたいだけなのに、いつも性行為の話が出てくるんだろうって……」

 後日、I子さんはある男性映画監督にこう言われた。

「君も『ほうか牧場』の一人なんでしょ? 木下君が君とヤったって言ってたよ」

 I子さんが話す。

「木下は20代前半の女優を狙って『業界の常識だから』と性行為を迫っていたようです。何人も柵の中に女優を“飼っている”からそう言われていたと……」

 その後、I子さんは木下から榊氏のワークショップを紹介され、榊氏からも性行為の強要を受けた。

 またも明るみに出た芸能界の「性加害」。当事者たちはどう答えるのか。榊氏に取材を申し込むと代理人弁護士を通じて回答した。

「H子氏とは交際関係にありました。その過程で、榊氏が、H子氏の自宅に出向き、宿泊するようなこともありましたが、通常の交際関係であり、何かを強要したといったような事実はございません。(I子氏とは)食事に行ったことはありますが、ご指摘のような口腔性交を強要したとの事実はありません」と否定した。

 一方の木下。本人と所属事務所に取材を申し込んだが、回答はなかった。

 3月18日、是枝裕和氏や西川美和など著名監督が「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」と宣言した。「悪しき慣習」がはびこる芸能界は、被害者の勇気ある告発にどう応えるのか。

source : 週刊文春 2022年3月31日号

文春リークス
閉じる