「1941年の真珠湾攻撃を思い出してほしい」
3月16日、アメリカ議会のオンライン演説で、そう訴えたウクライナのゼレンスキー大統領(44)。戦時下で一体、どのような生活を送っているのか。
旧ソ連のロシア語圏で育ったゼレンスキー氏。キエフ国立経済大で法学の学位を取得した秀才だ。しかし、彼が選んだ道は“テレビタレント”。ロシアの芸能界で活躍後、自ら制作会社を設立し、ウクライナに拠点を移す。ドイツ研究機関によれば、会社の利益は年約120億円に上ったとされる。下ネタを交えたコントや、ドラマ「国民の僕(しもべ)」の主役で人気を博した。
「政党『国民の僕』を立ち上げ、19年の大統領選で当選。ウクライナでは政治腐敗が続き、クリーンさが期待されましたが、“パンドラ文書”で大統領就任前に資産をタックスヘイブンに移していた疑いなどが指摘されました。19年は一家で10億円近い不動産収入もあった。内政でも成果が上がらず、昨年秋時点で支持率は25%まで落ちていました」(国際部記者)
運命を変えたのが、ロシアによる侵攻だ。ゼレンスキー氏は「私自身が第一の捕獲・暗殺対象。そして私の家族が第二の標的となっている」と明かしたが、
「実は、本来の彼は繊細な性格。見知らぬ人の批判コメントを見るだけで落ち込むので、普段はFacebookを見ないようにしているほどです。しかし今回はその弱点が顔を出さない。『キエフに残る』と力強く宣言し、支持率も90%台に急回復しています」(国際部記者)
侵攻が苛烈さを増す中、現在は大統領官邸の地下壕や地下室で、側近とともに過ごしているゼレンスキー氏。窓際には白い土嚢が積まれ、一部の執務室には射撃台が設置されているという。市街戦に備え、常にアサルトライフルを携えた兵士が同行している。それでも引き続き、ビデオメッセージを繰り返し発信。ある動画では、数人の兵士らとサラミやパンを分け合い、インスタントコーヒーを飲む姿が映っていた。
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source : 週刊文春 2022年3月31日号