今週から新年度に入りました。振り返れば、私がデスクとして「週刊文春」に来たのが、2012年4月。それから、ずっと「週刊文春」で過ごし、この4月で11年目に入ることになります。記者として在籍した4年と合わせると14年間。会社に入って25年のうち半分以上、「週刊文春」にいる計算です。

 こんな感傷にふけったのは、ちょうど新人の配属日を迎えたからです。今年、文藝春秋に入社した新人は8名。中央官庁や大手新聞社の内定を蹴って、小社を選んでくれた精鋭ぞろいと聞いています。このうち、3名が「週刊文春」に配属になりました。聞くと、2名は小誌を熱望し、もう一人もノンフィクション志望とあってか「たぶん行くだろう」と覚悟していたとのことでした。頼もしい限りです。

 彼らは、みな特集班で4月1日からニュースを追いかけることになります。3月31日の配属発表の後、編集部にあいさつに来た彼らに、1年先輩のH記者がさっそくアドバイスしていました。

「明日からの仕事に必要なモノがある」

 それは、ICレコーダーとイヤホンマイク。電話しながら録音できるイヤホンマイクは、電話取材のマストアイテムです。また、ICレコーダーは、H記者によればオリンパス製がいいそうです。新人に手早くアドバイスするH記者を見ながら、1年の成長を感じました。

 10年連続でいると、新人が中堅となり、筆頭書き(社員のエース記者をこう呼びます)に育っていく過程を目の当たりにします。

 今、筆頭書きとして君臨するK記者は、私が週刊に来た時、3年目でした。K記者が書いた原稿に、私がした“アドバイス”(彼女によれば“叱責”)が悔しくて、ノートに残しているそうです。問題は、彼女に何を言ったのか、私が全く覚えていないことです。「岸田ノート」ならぬ「Kノート」には、何が綴られているのか、恐怖でしかありません。

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source : 週刊文春