なぜ「週刊文春」はアホみたいにカムカム特集をやるのか

編集部コラム 第54回

「週刊文春」編集長
ニュース 政治

 4月8日に最終回を迎えたNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」。今週、小誌では「保存版」と題して、大特集を組みました。特集は今回で3回目。半年の朝ドラで異例の回数です。ツイッターでもこんなつぶやきがありました。

<文春がなぜああまでカムカム推しなのかわからないまま最終回。。。>

 企画の始まりは、デスク会議でデスクの「今回の朝ドラが面白いらしいです。妻が今朝も『神回』だって泣いてました」というプランでした。これに、朝ドラを欠かさず見ているデスクが「激しく同意」。とりあえずスタートしてみることにしました。私も慌てて見てみると、確かにジェットコースターのストーリー展開に加えて、上白石萌音さんの演技が素晴らしく、虜に。さらに、田舎の母と電話で話していた際に、母が「カムカムが面白い」と言い出し、通っているスポーツジムの更衣室で、おばあさんたちがみんな「松村北斗演じる稔さんがいい」と言っているというのです。

 私にとって、朝ドラと言えば「あまちゃん」をおいて他にありません。デスクの時に、記事を担当することになり、何気なく見たのがきっかけでドはまりしました。小誌連載筆者でもある宮藤官九郎さんの脚本が素晴らしく、ちりばめられた小ネタを確認したくて、毎日2回見ていました。当然、プランとして出し、読者アンケートをやったり、出演者インタビューをやったり。

 私は編集部員に、編集者の仕事は「私利私欲を公益性をもって実現すること」と言っています。自分が会いたい人、一緒に仕事をしたい人に会える企画を、「プラン」の形で出して実現する。大事なのは、このプランが実現すると、雑誌にとってどんないいことがあるか、つまり「公益性」をアピールすることです。編集長やデスクをいかにうまく「騙す」か。

 私は「あまちゃん」プランをたくさん出し、そのうちいくつかは実現することができました。最終回の時には一人で6ページの企画も作りました。そして、主演女優の能年玲奈さん(現在はのんさんとして活躍中)と事務所の対立を巡る記事を出して、事務所から訴えられ、証言台にも立ちました。

 先日、連載の「私の読書日記」の筆者に、女優の橋本愛さんが加わってくださいました。橋本さんは、映画や大河ドラマなど多くの作品に出演され、主演作品の多い女優。でも、個人的には「あのあまちゃんのユイちゃんが連載筆者に……」と一人感動していました。

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source : 週刊文春

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