「目立たない存在だったかもしれませんが、20年以上、地道に貢献してきたつもりです。でも、今後は、私のような社員は不要だということなのでしょう」

 こう嘆くのは富士通の50代社員。同社の50歳以上を対象とした早期退職制度で、3000人超もの幹部社員が3月末で退職した。

 いま、上場企業の早期・希望退職制度が拡大している。東京商工リサーチによれば、18年に約4100人だった募集人数は19年に約1万1000人に急増。さらにコロナの感染拡大と足並みを揃えるように、20年には約1万8000人、21年も約1万5000人となった。

視聴率でも苦戦するフジ

 主なターゲットが50代だ。冒頭の富士通以外にも、昨年からホンダ(2000人応募)、博報堂(100人募集)、フジテレビ(人数非開示)などが50代を対象に早期退職を募集した。

「リモートワークで、働かない50代が可視化されましたからね」

 こう語るのは大手メディアを今春退職するA氏(50)。

「コロナ前は全員が出社していたから、『何か仕事しているんだろう』と思い込んでいました。ただリモートワークに伴い、オンラインでスケジュールを共有してみると、局長クラスが生産性のない会議ばかりやっていることに気づいた。空いていると会議などを入れられますから、嘘の予定を書き込む人もいました」

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source : 週刊文春 2022年4月14日号