「もともと私は、オタクみたいな研究者なんですよ。ひっそりとマニアックなことを調べていた。それが急に、メディアに呼ばれる人になっちゃいまして……」
そう語るのは国際政治学者で、筑波大学教授の東野篤子氏(50)だ。
東野氏はウクライナ研究会副会長を務めるなど情勢に詳しく、ロシアの侵攻後はメディアに頻繁に登場。明快な解説を披露している。

「取材や出演は一日に何件もあり、非常に忙しいです。一時は心が折れかけましたが、専門家が発信しなくてはと思い直して続けています。学生から反応もあり、先日の卒業式では『テレビに出てる先生だ』『写真撮ってください』と言われました。授業では、厳しい先生だと思われてきたはずなんですが……」
テレビ出演時の装いをよく見ると、常に襟元に青と黄の装飾品が光っている。
「連帯を示したくて『ウクライナカラー』のブローチを身に着けています。更に、それを見てくれた人たちから研究室に青と黄の装飾品がいっぱい届きまして、ありがたく日替わりで使っています。絵本作家の原田みどりさんからは、青と黄の服を着たクマのぬいぐるみもいただきました。リモートで出演する時にはカメラに映る位置にそっと置いています」
東野氏は帰国子女。10代の5年間を英国で過ごし、慶応大学から同大大学院へ。パリのOECD日本政府代表部に勤務ののち、英国バーミンガム大学大学院に留学した。
広島市立大学准教授を経て、現在は筑波大学で教鞭をとるが、華々しい経歴とは対照的に、かつては「地味女子」だったという。
「大学時代はバブルの終わり頃。周りは派手な子も多かったです。私は何かに打ち込むわけでもなかった。そんな中、ECがEUへと変化する時代の変わり目があった。最初はミーハー心で興味を持ったんですが、のめり込むと細かく追究する性格でして、それからは研究が趣味です」
分野は主に、ウクライナなど旧ソ連構成国や中東欧と、EUやNATOとの関係だ。
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source : 週刊文春 2022年4月14日号