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「芸能界の性加害」水原希子のコメント全文

「週刊文春」編集部
エンタメ 芸能 映画
水原希子 ©getty

 昨今の芸能界、映画界の性被害を聞いて感じている事は、元々芸能界はこういう側面がずっと存在していて、ようやく変革の時期を迎えているんだとポジティブに捉えています。

 この業界に入ってから自分に起きたハラスメントは、以前自分のインスタグラムなどでもお伝えしてきましたが、それ以外にも男性監督から言葉のセクハラにあたるような事や、指導されている中で嫌な思いをした事は数え切れないぐらいあります。相手はもしかすると無意識に言っていたのかもしれませんが、私の中ではずっと無念の気持ちが残っています。

 それ以外にも芸能界の知人や役者の方から現場で嫌な思いをした話を聞く事があります。

 今、名前があがっている園子温監督のお話も以前からよく耳にしており、いろんな役者さんの方が実際に警戒をしていました。

 私も以前、作品のオファーがあった際には、友人の役者さんから園氏はそういう噂があるから気をつけた方が良いと言われた事がありました。

 また、役者同士でもインティマシーシーン(編集部注 性的なシーン)がある作品の撮影の際に、共演の年上の役者さんが前貼りを拒否して、実際には下半身が硬直した状態で撮影に入り、友人の女優さんがとても理不尽な気持ちで撮影をしなくてはいけなかったというようなお話もありました。

 今までインティマシーコーディネーターがいない中でも、インティマシーシーンの撮影はある程度現場ではスタッフの皆様が配慮して下さり、撮影しやすい環境作りはして頂いてきたと思いますが、ただ、その中でも必ず誰かは自分の立場やポジションを利用して、必要ない中で、中に入ってきたりするなどという事は沢山あります。

 私以外にも周りの役者さんからはこう言った話は沢山聞くので、そういった事が起きていたことは頻繁にあったかと思います。

 どこか当たり前に我慢しないといけないような雰囲気になっているのだと思います。

 そして業界の中で俳優とは脱ぐと決めたら細かい事を気にせず、脱いで演じ切る。その様なある種の美徳があり、役者魂で乗り切り、体当たりで演じ切る事が立派な俳優だ、みたいな歪んだ捉え方、精神、概念を押し付けてくる暗黙の了解のような空気が存在していると感じていますし、実際にそういう事を言われた事もあります。

 実際に自分がこのような苦い経験をして分かったのは、苦しいのに無理をして緊張状態で頑張って撮影すると、その気持ちが作品にも映り、また、自分の心にもずっと苦い思いやトラウマが残ってしまうという事。一生懸命頑張ったその作品を自分自身が誇れない事の無念さ。

 私はこの経験を経て、これからは監督やプロデューサー、スタッフ、役者との対等なコミュニケーションと信頼し合える関係がある中で、お芝居やその他の仕事をしていきたいという事。そして自分が安心できる環境でお芝居をする事がより良い作品作りに繋がるんだなと実感しています。

 アメリカでも今大きなスタジオでは、インティマシーシーンの撮影の際にはインティマシーコーディネーターがいて、演者が守られている中、たくさん素晴らしい作品が生まれているなと観ていて感じています。

 アクションシーンにはアクション監督がいるように、インティマシーシーンにはインティマシーシーンのコーチを付ける事で、作品に関わっているすべての方にとって結果的にはプラスになると感じています。

 やはり、今までのやり方をしていた中で、何か新たな事、変化をしていく時には戸惑いを感じ大変だと感じる事もあるかと思いますが、今までのやり方によってこんなにも被害を受けた方がいるという事が今明るみに出て、ここで今までの現状を理解し、新しい事を受け入れていかなくてはならないタイミングなのではないかと感じています。

 これから、こういう被害が起きないようにする為にも、インティマシーシーンの撮影の際には、積極的にインティマシーコーディネーターを採用して頂き、制作側も演者側もその存在を理解していく事で、よりアップデートされた健全な作品づくりをして頂けたらと感じており、私自身もそういった取組みをしている作品にどんどん関わっていけたらと思っております。その環境の中で自分の力が発揮できたらどのような素晴らしい作品に仕上がっていくかとても楽しみです。

 今後そのような事が受け入れられる世の中に変わっていく事を強く願っております。

 最後に、今回コメントを出した経緯として、もしかしたら今後どこかで役者を夢見る女の子に、製作者側が私の名前をネームドロッピング(編集部注 繋がりのある有名人の名を会話に入れ込むこと)をして、映画に出すよ、などと言い、被害に巻き込まれるという事態は絶対に起きてほしくないと願っています。なのでその様な事を言ってくる人がいたら騙されて欲しくないし、逃げてください。日本の芸能界、映画界には真っ直ぐな思いで作品を作ってる方が沢山います。

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source : 週刊文春 2022年4月21日号

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