ロシア ウクライナどちらが今、有利なのか
「ロシア軍相手に容赦はしない。プトラー(=プーチン大統領をヒトラーになぞらえた造語)が戦争を始めたのです。彼が最も来てはいけない場所は、私たちのところです」
小誌にこう語るのは、ウクライナ西部・リヴィウの領土防衛隊「ライオン」で指揮官を務めるヴァレンティン・セレディウク氏だ。
ロシアの侵略開始から2カ月強が経った。ロシア軍による市民の大量虐殺が指摘され、双方の軍隊にそれぞれ2万人以上の死者が出ていると言われる中、戦況は今、どちらに有利なのか。
現状を「今後どちらに転んでもおかしくない五分五分の情勢」と分析するのは、軍事ジャーナリストの世良光弘氏だ。プーチン大統領は5月9日の対独戦勝記念日までの東部ドンバス地方制圧を目指しているが、
「キーウなどで疲弊したロシア兵の士気は低く、5月9日までの東部制圧はまず無理でしょう。ただ、ロシア軍が当初の稚拙な戦い方を立て直しつつあるのは事実です。また東部はキーウなどと違って平地が多く、ロシア軍が得意な戦車を使った戦いも展開しやすい。ロシアが今後、多少時間はかかってもドンバスを制圧すれば、次は南部、中部に侵攻し、将来的にドニエプル川の東側はロシア、キーウを含む西側がウクライナとなりかねない」(世良氏)
一方で冒頭のようにウクライナ側の士気は高い。ゼレンスキー大統領は西側諸国に更なる軍事支援を求め、24日に米国の国務長官、国防長官と会談。しかし、問題点もあるという。
「例えば米国が供与する榴弾砲の口径は155ミリですが、ウクライナ軍が使っているのは152ミリ。システムなども異なり、新たな軍事訓練が必要です。前線での使用には一定の時間がかかる。こうしたタイムラグに耐えられるかどうかが、ウクライナ軍にとっては極めて重要です」(同前)
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source : 週刊文春 2022年5月5日・12日号