「ナベは家族愛の強い男なんだ。結婚した長女は近所に住んでいて、お孫さんを連れてよく遊びに来ていた。皆で自宅の庭でバーベキューを楽しんでいた笑顔が忘れられない。何でお孫さんを遺して……」
俳優・渡辺裕之(享年66)との思い出を長年の友人は絞り出すようにこう語った。
訃報がもたらされたのは5月5日。渡辺が自宅で縊死していたことを、彼と妻・原日出子の所属事務所が公表したのだ。渡辺の自宅は、横浜市の閑静な住宅街の一角にある。妻と次女、長男の4人で暮らしていた。
「渡辺さんは5月3日の午前中、自宅地下のトレーニングルームに入った。昼頃、原さんが食事の支度をして声を掛けようとしたところ、筋トレ器具の傍で倒れている渡辺さんを発見。救急車を呼んだが、既に心肺停止状態だった。ロープ状のもので首を吊っていたようです」(スポーツ紙デスク)
地下室にはトレーニング器具以外にも、ドラムセットやゴルフ道具、ラジコンなどが置かれていた。愛用の品々に囲まれ、なぜ彼は自死を選んだのか――。
渡辺は1955年、茨城県水戸市で生まれた。写真館を営む両親と弟、妹の5人家族。小学校時代から映画やテレビのスターに憧れていたと幼馴染は述懐する。
「裕之ちゃんは活発で、三輪車で競走していました。当時は『月光仮面』が流行った時代。マントを羽織り、月光仮面の真似をして塀から飛び降りていました(笑)」
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source : 週刊文春 2022年5月19日号