「世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ」
中長期的な企業ビジョンをこう掲げ、特にアジアのネットワークを強みとしている三菱UFJ銀行(MUFG)。ところが――。
「金融機関としての管理体制やチェック機能が杜撰なため、事故が多発している」
そう告発するのはMUFGシンガポール支店の関係者A氏だ。“事故”の舞台は同支店のアジアトランザクションバンキング室(TBOA)である。
「TBOAは多国籍企業の送金や、貿易における企業間の決済を担う部署。ここで近年、LC(信用状)業務を中心に事務事故が起きているのです」(同前)
国際貿易では、商品が届いて決済が行われるまでに時間がかかる。輸出企業は早く資金化したいので、金融機関がLCを作成し、売掛債権を買い取る形で代金を立て替える。この際、回収リスクが生じる分、債権額の割引を行うのだが、
「売掛債権の金額や割引率の設定でミスが多発。顧客へ間違った額での送金が相次いでいます」(同前)
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source : 週刊文春 2022年6月2日号