大きな失言、小さな失言

新聞不信

「週刊文春」編集部
ニュース 社会

 政治家の二つの「失言」が世間を驚愕させた1週間ではあった。事の大小、故意と過失で違いはあるけれども。

 大きな方は、来日したバイデン米大統領だ。先月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、中国の台湾侵攻の際に米国が軍事的に関与するか否かを聞かれ「イエス」「それが我々のコミットメント(誓約)だ」と語ったそうな。

 朝日は翌日朝刊で、米ホワイトハウス当局者が会見後に米国の「一つの中国」政策の変更はないとの声明を出しつつも大統領の発言自体は否定しなかったと書き、「台湾防衛 軍事関与を明言 バイデン氏『あいまい戦略』転換示唆」と一面トップで見出しを打った。要は、確信犯的な失言ということなのだろう。

 ただ、続く25日朝刊の「外務省幹部『のけぞった』」との記事には、こちらがのけぞった。自民党内に「最高の失言」と歓迎する声が出るのは驚きはしないが、外務省幹部が「日米ですり合わせた発言ではない」と打ち明けた、と書いて済ませるのに驚く。

 中国との矢面に立たされる日本に事前の通告や調整がなかったのなら、まさに由々しき事態ではないか。故意に仕組まれた「失言」であればこそ、外務省の「失念」を追及しない報道姿勢はおかしい。

 一方、小さな方は玉城デニー沖縄県知事だ。米大統領発言の2日後の25日、米軍基地問題に関する有識者会議が始まる前に「(ウクライナ大統領の)ゼレンスキーです」と挨拶し、直後に「冗談です」と打ち消したという。

 拳を振り上げるには値しない失言と思ったのか、例えば日経は翌日朝刊で社会面のベタ記事とし、「あいさつで冗談 沖縄知事が陳謝」と見出しを立てた。「他意はなかった。不用意に発言し、心からおわびしたい」と知事の釈明を載せているが、記者はそれ以上突っ込まなかったのか。

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source : 週刊文春 2022年6月9日号

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