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〈職権濫用とも思える圧力で抑え込まれる〉松屋の従業員有志が“パワハラ告発”嘆願書を本社に提出していた

スクープ速報

「週刊文春」編集部
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 大手牛丼チェーン「松屋」の従業員有志がパワハラなど労働環境の改善を求める嘆願書を本社に提出していたことが「週刊文春」の取材でわかった。

 6月2日に松屋本社に提出された嘆願書のタイトルは〈松屋の現状について〉。執筆者には現役の管理職をはじめ元社員、アルバイトなど様々な立場の従業員が名を連ねている。〈私たちは松屋を心からよくしたいと考えております〉〈現在の松屋の現場の状況をご存知でしょうか?〉という導入から始まるこの嘆願書はA4用紙で9枚に及び、「パワハラ」「評価制度」「退職する社員に対しての扱い」などの項目で、現場目線から同社の問題点が指摘されている。

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 従業員有志の中心メンバーAさんが明かす。

「松屋では以前からパワハラなどを指摘する声がありました。そこで私は昨年末から従業員有志を募り、本社に労働環境の改善を求める嘆願書を提出するつもりで準備していたのです」

 嘆願書には次のような内容が綴られている。

〈感謝や慰労の念が感じられない〉

〈(退職する社員は)雑な扱いに変わり労働環境はより厳しくなり後味悪く退職していく人が多い〉

〈意見や提案など受け付ける環境にない風土となっている〉

〈意思決定権が特定の人物に偏っており意見=反抗という捉え方をされる〉

〈後付けによる理屈と正論による職権濫用とも思える圧力で抑え込まれる〉

現場の声は届くのか

 こうした記述は実体験に基づいている。名を連ねた従業員の多くが“パワハラ被害者”でもあるのだ。

くら寿司の報道を見て「身に覚えがある内容で焦りました」

 嘆願書を準備する中で、松屋の従業員有志の危機感を募らせる出来事があった。小誌による、大手回転寿司チェーン「無添くら寿司」の過酷な労働環境の報道だ。

 小誌は今年4月28日号でくら寿司の現役店長が上司のパワハラを苦に焼身自殺していたことを報道。そこから6号にわたり、社会保険の加入拒否や有給休暇の取得拒絶など同社の従業員らの悲痛な告発を報じてきた。これらの内容は、Aさんたち松屋従業員にとって他人事ではなかった。

「身に覚えがある内容で焦りました。このままでは松屋でもくら寿司と同じことが起きる、と」(Aさん)

取材に応じる松屋の従業員有志メンバー

 ところが――。嘆願書提出に向けて最終調整を行っている最中の5月26日、松屋の内部を「若手社員が死亡した」という衝撃的な情報が駆け巡った。

 Aさんが肩を落として語る。

「提出前に社員の死という悲劇が起きた」

 訃報を受けた従業員有志は6月2日、急いで嘆願書を本社に提出した。

 松屋本社に社員の死について聞くと、〈事実です〉と認めた上で、〈ご遺族からは、プライベートに関することが要因であると伺っており、弊社からの回答は控えさせていただきます。ご遺族感情に配慮していただけますようお願い申し上げます〉。そして、従業員有志による嘆願書について見解を求めると、〈弊社では、パワハラの防止や労務環境の改善に努めております。具体的な申し出があれば通報窓口で対応しております〉と回答した。

瓦葺利夫会長(左)と瓦葺一利社長(右、HPより)

 社員1580名、パート・アルバイト2万1094名を抱え、「吉野家」「すき家」と共に「牛丼御三家」と言われる松屋で今、何が起きているのか。

 6月8日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月9日(木)発売の「週刊文春」では、松屋の従業員有志が嘆願書を書くに至った理由と背景、執筆メンバーが実際に受けた“パワハラ”の詳しい内容、社員の死について本社と交わしたやり取りなどを報じている。

source : 週刊文春 2022年6月16日号

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