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理想の体型は千差万別 体型に合った服で輝こう|霜鳥まき子

似合う服だけ着ていたい 第22回

霜鳥 まき子

連載

ライフ ライフスタイル

「『痩せるのがオシャレへの一番の近道』と聞くと、細いか若くないと服は着こなせないのかと思って、年齢を重ねる事への気持ちが萎える」という言葉をある場所で目にした私。いつか公の場でこれについて伝えたいと、頭の片隅でずっとおぼえていました。

 私達パーソナルスタイリストは、どんな体型の方でも、素材・柄・色・丈感・幅感などを吟味してバランスを自在に操れるので、その方にとって理想的なシルエットと美しいバランスで服を着て頂く事ができますし、数割増しのバランスを作る事もできます。

 ただ、私達が容易に操れないのは「自分の体型についての心(気持ち)」。若い女性の約9割が「今より痩せたい」と思っているような国なので、ふくよかであることのメリット(皺が目立たない・肌が綺麗に見える等)もあまり耳に入らないようです。また年齢を重ねるとどうしても代謝は落ちていき、加齢によって肉付きも変わってくるので、「きれいでいる=痩せていないといけない=そうでないとオシャレになれない」となると、年を重ねる事が心配になる気持ちもわかります。

 以前、「今ある服を全部捨てたい」とクローゼット整理のご相談がありました。ご自宅に伺ってみると、一箇所に、処分を待つかのように置かれた服の山。加齢に伴い太ってしまって、という彼女の体型は、9号サイズ。7号サイズから9号サイズへの変化という、周りの人には変化を感じにくいレベルでも、ご本人は自分の今の体型を受け入れられず、「手持ちの服が似合わなくなった」「捨てたい」となってしまったのです。

 私が問題だと思ったのは、彼女の体型ではなく、表情。現状に不満を持つ不幸せな顔は見ていて悲しく、早くこの状況から脱却してほしいと思いました。今の状態の彼女と新しい服を見に行っても、どんな服でも似合う気がしないでしょうし、彼女の手元に行く洋服が可哀想にも感じられ、「ご自身が思う理想の体型になってから会いましょう」と伝えて別れました。その人が持つ「理想」を変えることはできないからです。その後、「優先順位にハッとした」という彼女は、ご自分の納得できる体型にされた上で再度依頼のご連絡をくださいました。

 もともとタイトな服装が好きだった彼女は、減量したことで、ファッションを楽しむ心を取り戻すことができました。でも、彼女と同じような体型でも、体の薄さを気にして、少しウエイトを上げたいというお客様もいます。理想の体型は人により千差万別で、本来は他人のものさしで測るものではありません。洋服のサイズ表記も便宜上付いているものなので、気にしなくていい。今の自分の体型を本人が肯定的に捉えているかが一番大事で、それが叶っていれば幸せということです。

 やせ型に見えても不満を抱えている人もいれば、大柄でも、勿論気にせず、ハッピーオーラを沢山振り撒いてくださる方々もいます。私が素敵だと思うのは、自分の体型に自信を持ち、上を向けている人です。ただ、そんな風にずっと過ごせるようにするためには、頭も体も柔軟なタイミングで気持ちよく過ごせる体型を見極めておく事。そして、堂々と年を重ねる! 周りを見回すと、実は体型に合った服を上手に着ている楽しそうな先輩方がきっといますよ。結論。「若いか、細くないと、服は着こなせないのか」への答えは勿論「NO」です。

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source : 週刊文春 2022年7月14日号

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