加計問題を巡り、小誌17年6月1日号で「『総理のご意向』文書は本物です」と明かした元文科事務次官の前川喜平氏(67)。行政の歪みを告発した官僚が肌で感じたのは――。
「安倍さんには政策のレクのために、官邸で面会することがありましたが、軽妙洒脱な人だったという印象です。近しい人にとっては、一緒にいて楽しい人だったろうと思います。私たちの説明を聞きながら、冗談を飛ばすこともありました」
だが、そんな前川氏に降りかかったのが、加計問題だ。事務次官だった頃、和泉洋人首相補佐官(当時)から“圧力”をかけられたという。
「和泉さんから『獣医学部新設の手続きを早く進めるように』と指示されたのです。その際、『総理は自分の口から言えないから、代わって言うんだ』とおっしゃった。文科省の関係職員は皆、安倍さんのお友達のために無理筋な仕事をさせられていると思っていました。ただ、当時の私は“面従腹背”がモットー。大臣に和泉さんの言葉を報告したりはしませんでした」
安倍政権では、官邸主導が強まっていたとされる。
「異論を唱える人を排除していく一方、周りを和泉さんのような味方で固める姿勢は露骨でした。安倍一強と言われる中で、全能感が増していったのかもしれません。特に大きかったのは、官僚人事を差配する菅義偉官房長官の存在です。私が官房長だった13年頃、月イチで“閑忙会”という飲み会を開いていましたが、そこでも『菅さんに睨まれるとマズイぞ』と囁き合っていた。菅さんを官房長官に据え続けたことが、長期政権に繋がったのだと思います。私も“出会い系バー”通いを報じられましたから……あれも、菅さんに近い杉田和博官房副長官に注意を受けました」
保守系の政治家として長年、教育問題にも力を注いできた安倍氏だが、
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source : 週刊文春 2022年7月21日号