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実録ルポ「介護の謎」③「介護保険でできないこと」

甚野 博則

連載

ニュース 社会

 離れて暮らす親の「リモート介護」は可能なのか。訪問リハビリ、デイケア、デイサービスなどは何がどう違うのか。弁当の宅配に、買い出しの援助、どれは介護保険が使えて、どれには使えないのか。介護の謎は尽きない。

デイサービスの様子

 要介護4の母親(74)を一人実家に残して父親(78)が急遽入院することになったのは昨年11月のこと。歩行、寝返り、座位保持などが一人で出来ず、日常生活に支障のある要介護の母親が、独力で生活しなければならない状況になった。

「これからの生活をどうしようか」

 きっと母親はそう思ったに違いないが、家族もまた同じ思いだった。

 要介護認定の申請をすると、どのくらいの介護が必要なのかランク付けされることは第2回で記した。本人と面談したうえで、コンピューター診断と専門家などによる2次判定を経て、どの介護ランクに属するかが決まるのだ。ランクによって受けられる介護サービスの内容や、介護保険から給付される上限金額も異なる。

 厚労省の資料によれば、「要介護状態区分別の状態像」として目安が記されている。起き上がりや立ち上がりなどの日常生活能力の低下がみられる場合は最も軽い要支援1で、麻痺、食事摂取困難、短期記憶などの低下がみられる場合は、最も重い要介護5に分類されるといったように一つの目安があるのだ。例えば、洗身、薬の内服、金銭の管理、排尿、排便、上衣の着脱、ズボン等の着脱などの能力に問題があれば、それは「要介護」状態の、どこかのランクに当てはまり、誰かの介護を必要とする。

 そんな状態の母親がいても、私には家庭や仕事もあるために、すぐ実家に戻って親の介護に専従するわけにもいかなかった。

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source : 週刊文春 2022年7月28日号

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