『プレバト!!』で俳句の才能を開花させ、6月には永世名人に昇格。夏井いつきに「本物の詩人」と称された男が語る、独創的な句をつくるコツ。
僕も独学でやっていることなので「こうだ」とは言い切れないんですけど、俳句でまず大事なのは「描写」だと思っています。俳句を始めるとき、短いストーリーにしなくちゃいけないと考える人もいますが、一番基礎的な狙いはそこじゃない。感覚としては写真や短い動画に近くて、「あ、なんかいいな」と思った瞬間の景色を、言葉で「描写」して映像化するのが俳句なんです。
描写というのは、たとえば太陽でキラキラしている湖を見たときに「きれいな湖」って言うんじゃなくて、「光が反射している湖」と表現すること。要は自分の感想で表すんじゃなくて、その言葉を聞いた人が、脳内で同じような光景をそのまま再現できるようにすることです。「きれいな湖」だと聞き手はその情報を得るだけですが、「光が反射している湖」なら、それを想像して「わ、きれい」と感動を覚える。俳句においては、感想や感動を自分で言ってしまわないで、読み手のためにとっておくことが結構、大事です。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2022年8月18日・25日号