実は『プレバト!!』はレギュラー化する前に特番として始まったんですが、立ち上げのときは今と全く違う内容だったんですよ。〈王様〉が2人いて、その配下たちが何かを競い合い、負けた方の王様がパイ投げとか粉まみれの罰を受ける。僕は初回の王様だった。だから、内容が変わったときも、基本的には何でもやるつもりで、料理だのダンスだのをやっていたわけです。
そしたら、あるとき、「俳句をやるんですが、参加してくれませんか」と言われて。「ナンだよ、俳句なんてくたびれた爺ぃが趣味でやるもんだろ。視聴者がそんなの楽しいと思うのかな。ま、どうせすぐに無くなるコーナーだろうし、下手でもそれはそれで面白いか」と、内心そんな感じでした。
というのも、正直、俳句と川柳の区別もついていなかった。こっちは中学を出てから芝居一筋の人生ですからね、俳句になんてまるで縁がない。あまり気乗りしませんでしたよ。
ただ、五七五のリズムは身体に叩き込まれていました。たとえば、「花の司の牡丹でさえも冬は菰着て春を待つ」。幼い頃に父から教わった芝居の決まり台詞ですが、僕がやってきた時代劇には、こんなのがたくさん出てくる。演歌や歌謡曲の歌詞も七五調が多いですよね。日本人にしっくりくるリズムなんでしょうね。それで、五七五には馴染みがあるから、できるかもしれないと思えてきたんです。
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source : 週刊文春 2022年8月18日・25日号