俳句との付き合いはかなり長いのですが、思い返してみると、ほとんどが“句会”。それの蓄積ですね。
私が俳句を始めたのは、20代半ば。俳人の中村汀女先生が主宰する句会のテレビ番組に出演したのが最初です。汀女さんは、素人の句でもどこか必ずいいところを見つけてくださる褒め上手な方で、私、すっかり楽しくなっちゃって。
ちょうどそのあと、雑誌「話の特集」の面々がダラダラ飲んでいるだけじゃつまらないと「話の特集句会」を立ち上げたんです。編集長の矢崎泰久さん、和田誠さん、山藤章二さんなどがいらっしゃって、私も誘っていただきました。あとから、岸田今日子ちゃん、(吉行)和子っぺも加わって。句会の後は飲みに行って大いに盛り上がって、本当に楽しかった。
この会では、「天(=特選)」にとった句を、選んだ側が短冊色紙に書いて、その句の作者にプレゼントする決まりでした。私の手元には皆さんが書いてくれた色紙がいっぱい残っています。母が亡くなった後に私が詠んだ〈梟や母深々と瞑りおり〉を、誠(マコ)ちゃんが味わいのある字で書いてくれたのとか。和子っぺが選んでくれたのは〈金星や野の道遠く冴返る〉、今日子ちゃんが書いてくれたのは〈なにほどの男かおのれ蜆汁〉。色紙を眺めていると、まるで自分の人生をなぞるよう。宝物ですね。
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source : 週刊文春 2022年8月18日・25日号