「陽性だったと分かった時は、『感染対策の責任者なのに感染して現場に申し訳ない』という自分に対する情けない思いでいっぱいでした。しかし一方で、感染して初めて分かったこともありました。感染症の専門医がコロナに感染して何が分かったのか。自分自身の体験談をお話ししたいと思います」

 

 こう語るのは、公立陶生病院・感染症内科主任部長の武藤義和医師(38)だ。武藤医師は、多くのメディアに登場する新型コロナウイルスの専門家。「週刊文春」にも何度もコメントを寄せ、ワクチン接種に関する疑問から変異株ごとの対策に至るまでコロナにまつわる様々なアドバイスを読者に届けてきた。

 

 ところが、第7波が猛威を振るう中、そんな“コロナの専門家”が、ついにコロナに感染してしまった。“患者”として過ごした日々で見えたことは何だったのか。

武藤医師

 連日100人を超える外来および入院患者対応に加え、院内発生例などのマネジメントで数ヶ月におよび1日も休まず日が回るまで業務をしていた中で、それは発生しました。8月3日(水)夜中、仕事場で残務整理をしていた時に、ふと喉の「ヒリヒリ」という痛みを感じたんです。それが最初の違和感でした。普段、夜寝る時にクーラーをつけっぱなしにして朝起きた時に喉が「イガイガする」という状態がありますよね? あれとは全然違う、灼けつくような痛みだった。唾を飲み込むだけで痛みが出るようになり、心配になりました。 

 すぐに帰宅。自宅は病院から車で30分ほどの距離にあり、間取りは2LDKで1人暮らしです。ベッドに横になったのですが、数時間後の8月4日(木)の未明の2~3時くらいだったと思います。目が覚めて、悪寒と震えが生じました。明らかな発熱を自覚したので「これはいかんな」と思った。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル