大阪・堺市にあるマンションの1室で、無惨な姿で見つかった母娘。玄関も窓も施錠されており、第三者の犯行の気配はない。夫は遺体が見つかる二日前には、すでに……。
荒牧愛美さん(29)が数十カ所、愛娘のリリィちゃん(3)も10カ所以上を刺された姿で発見されたのは8月24日。大阪府警は31日、事件発覚直後から行方不明だった夫、バルボサ・アンデルソン・ロブソン容疑者(33)を殺人容疑で公開指名手配した。
「現場の状況から、大阪府警は夫の犯行と断定して指名手配に踏み切った。しかし容疑者はすでに日本を脱出。職場にも『2週間休ませて』と連絡した上で、故郷のブラジルへ逃亡したのです」(社会部記者)
SNSで家族と仲睦まじい姿を見せたかと思えば、時には険しい顔つきで体に彫った竜のタトゥーを披露する容疑者のバルボサ。10年以上前に、ブラジルで知り合った日系人の妻と共に来日した。製造業などの職を転々としながら関西を拠点に生活していたが、妻と約8年前に離婚。その後、大阪出身の愛美さんと知り合って交際を始め、2018年にリリィちゃんが誕生。翌19年に入籍した。愛美さんの知人が語る。
「愛美さんは誰にでも分け隔てなく接する優しい女性です。留学経験があり社交的で、英語やポルトガル語を勉強しており、外国人の友人も多かった。バルボサのほうからの熱烈なアプローチで付き合うようになったんです。リリィちゃんが産まれてからは、本当に可愛がって愛情を注いでいた。SNSにも『私の小さな王女』と綴っていて、可愛らしい笑顔のリリィちゃんの写真を何度も投稿していました」
今年になってバルボサは、堺市にある工場で職を得ていた。勤務先の関係者が語る。
「職安から雇ってほしいと言われて。機械のオペレーターなどに従事していました。上司から注意されたときなど感情的になる面はあったが、特に大きなトラブルはなかった。職場ではよく娘や奥さんのことを話していて、娘の写真を見せるなど家庭円満をアピールしていた。定時になるとすぐに帰っていました」
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source : 週刊文春 2022年9月15日号