劇作家、演出家、さらには役者として。70歳となっても精力的な活動を続ける演劇界の重鎮が、“いま頃”至った新境地とは――。

 古希を迎えた劇作家の勢いが止まらない。

 今年はすでに2作の書き下ろし作品を発表。5月に「青空は後悔の証し」を上演し、この10月からは「クランク・イン!」(本多劇場 〜30日)が始まった。

 精力的な活動を続ける原動力について岩松自身はこう分析する。

「まだ、やり残したことがいっぱいあるような気がしているのが結構大きいんだと思います。それと、演劇人たる人生を送っているんだったら、他の人よりも面白い芝居をつくらなきゃいけないとか、人に馬鹿にされてはならないとかそういう気持ちがいまだ背中を押しているんだと思う。アスリートが人より先に行こうとする、勝ちたいと思う、そんな気持ちに近いのかもしれないですね」

撮影 杉山拓也

 岸田國士戯曲賞、読売文学賞など多くの賞の選考委員を務める演劇界の重鎮でもあるが、岩松は、現役として最前線で戦う姿勢をなおも崩していないのだ。

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source : 週刊文春 2022年10月20日号