男だらけの落語界に切り込む“5人のおんな落語家”「女が男にかなわんのは、腕力だけやから」

生島 淳
エンタメ 社会 芸能

女性初の『笑点』大喜利出演、NHK新人落語大賞受賞――。男が語り、男が楽しむ芸だった「落語」に新境地を拓く、東西の俊英を撮り下ろし!

“涙サプライズ”で真打に 『笑点』を沸かせた実力派

 今年3月の上野鈴本演芸場で“事件”は起きた。春風亭ぴっかり☆改め蝶花楼桃花が誕生したが、真打昇進披露口上の席で桃花の師匠、春風亭小朝が泣いた。

「まさか師匠が泣くとは想像していなかったので、大、大サプライズでした。私は昇進の記者会見で泣いてしまい、口上では絶対に泣かないと誓っていたのに、もう無理、無理。でも、嬉しかったです」

撮影 板谷 麗

 2006年に小朝に入門したが、そもそも女性を弟子に取る落語家が少ない時代だった。

「女性真打は、落語協会では私が10人目です。入門当時はモデルとする先輩も少なく、手探りで進む感じでした。師匠は『この噺はこの師匠に教わっておいで』と、出稽古を勧めてくださったり、広い視野で育てていただいたことに感謝です」

 この9月4日には、闘病中だった三遊亭円楽の代役で『笑点』に出演。1966年に始まったこの番組、女性が回答者になったのは初めてのことだった。

「プレッシャーは大きかったです。でも、反響も大きかった(笑)。メディアには積極的に出ていきたいと思います。二ツ目時代に元気を前面に出していたこともあり、そうした役割を求められている気もしますが、普段の自然な姿を落語に投影出来たらとも思うので……高座ではそのギャップを埋めていきたいですね」

 蝶花楼桃花になって半年ちょっとだが、驚くほどしっくり馴染んでいるという。

「実は蝶花楼を名乗る女性は初めてです。女性に誂えたような亭号なんですけどね。お祭り好きの師匠を見習い、お客様と一緒に盛り上がれるような、熱気のあるフェス感を出していきたいです」

<江戸> 蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)

「真打昇進披露公演」
11月1日(火)19時開演
東京・なかのZERO小ホール
☎0570-00-3337(平日12時〜15時)
愛知、大阪でも公演予定
詳細は https://momoka.club

弟子と6人の子を育てる“史上初”の女性落語家

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source : 週刊文春 2022年11月3日号

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