1990年代前半、大学生だった僕は、当時「マンガ表現論」を開拓しようとしていた夏目房之介さんのところに、よく出入りしていた。その頃の夏目さんの関心は、現代マンガの表現技法にとどまらず、その約束事(コード)がどこに由来するのか、といったことにまで及んでいた。
「たとえばシミズくんの知っている日本中世の絵画なんかで、現代マンガの表現と似たものってある?」
そんなことを尋ねられた僕は、めぼしい絵巻物の画集からいくつかの場面をコピーして、得意になって夏目さんに紹介したことがある。
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source : 週刊文春 2022年11月10日号