永六輔からたけしまで「我がラジオ人生」|高田文夫

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「週刊文春」編集部
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「だからラジオが好き」。『ビートたけしのオールナイトニッポン』でたけしの相方を務め、30年以上にわたり冠番組『ビバリー昼ズ』でパーソナリティーを続ける、芸能界の“生き字引”。ラジオ遍歴を語る――。

 

(たかだふみお 1948年東京都渋谷区生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業後、放送作家に。落語立川流Bコースに入門し88年に立川藤志楼として真打昇進。89年からニッポン放送の『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』でパーソナリティー。著書に『東京笑芸ざんまい』など。)

 

 ラジオの激戦区、平日昼にやってる帯番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)も今年で33年。昭和から平成になった1989年の4月にスタートして、2012年に心肺停止で三途の川の手前で引き返した後も続けてます。盛んに炎上している爆笑問題の太田(光)君や、芸能界で向かうところ敵だらけの(神田)伯山、妙に親しげなタブレット純たちが面白いって言ってくれてるのは嬉しいね。こっちも彼らの『爆笑問題カーボーイ』と『日曜サンデー』(共にTBSラジオ)、『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)、『音楽の黄金時代』(ラジオ日本)は聴いてるよ。

 

 私の子どもの時分はテレビもネットもないし、ラジオに夢中だったね。小学生だった吉永小百合が出演してたドラマ『赤胴鈴之助』(ラジオ東京、現TBSラジオ)はよく覚えてる。寄席中継も多くて耳で落語を覚えちゃった。もちろん寄席にも行ってて、新宿末廣亭で初代林家三平に「坊っちゃん、これから『月光仮面』の噺するからね」なんてイジられたこともある。浪曲の広沢虎造がスターでね、素人のど自慢みたいな『浪曲天狗道場』(ラジオ東京)も聴いてた。みんな唄うんじゃなくてウナっちゃってたんだけどさ(笑)。

吉永小百合は『赤胴鈴之助』でデビュー

 おぼろげにしか覚えてないけど『日曜娯楽版』(NHKラジオ)が我が家のご贔屓番組。シャレた放送だから、とくに東京っ娘のお袋が気に入ってたんだ。そこで司会者の三木鶏郎という名前を覚えたもの。彼は作詞作曲も演出もこなす才人。出演は三木のり平や有島一郎、中村メイコ、左とん平とか芸達者揃い。森繁久彌と丹下キヨ子の「僕は特急の機関士で」とか楽曲も聞かせるし、ジョージ川口とかジャズマンも演奏する。呼び物のコントを鶏郎門下のキノトール、飯沢匡、神吉拓郎や野坂昭如というキラ星の如き作家たちが書いててね。まだ学生だった永(六輔)さんは番組にコントを投稿して、鶏郎から誘われて作家になった天才児。NHKへ学生服のままで打ち合わせに行ったら守衛に止められたって話もあるよ(笑)。

『日曜娯楽版』に出演した三木のり平(真ん中)
三木鶏郎

 中学生になって放送作家という職業をどんなものか知ったね。今みたいにフリートークなんかないから、司会者やゲストの質問から応答まで全部書いて渡す。なのに台本を全部ナシにして喋りまくったのが『昨日のつづき』(ラジオ関東、現ラジオ日本)。出演者が豪華なんだ。永さん、前田武彦、大橋巨泉、たまに青島幸男。みんな作家だから「台本なんかいらねえや!」って、月曜から金曜の夜にワーワー早口でやってんの。画期的で聴いててドキドキしたよ。最後「今日の話は昨日のつづき、今日のつづきはまた明日。提供は参天製薬、声とアイデアは永六輔、前田武彦、大橋巨泉、そして私、冨田恵子」ってシメるのがお決まり。で、青島さんは「タレントより頭が回るから、台本なしでペラペラ喋れるんだ」なんて自信たっぷりなんだ。それで「こういう人になりたい。喋って書かないのが作家だ!」と目覚めちゃった(笑)。青島さんはコントや作詞、俳優やっても上手い。おまけに『鐘』って映画を撮ってカンヌで入選よ。才能があれば十足でも百足でも履ける草鞋は全部履く。ずいぶん感化されたね。ド天才だと思った。

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source : 週刊文春 2023年1月5日・12日号

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