先週号の〈ジャニーズ事務所 英BBC性加害告発番組の衝撃〉には、大きな反響がありました。多かったのが「知らなかった」という声です。ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏がジャニーズJr.に対して、性的な行為を行っていた。この事実は、1999年に「週刊文春」が報じています。裁判にもなり、東京高裁では、少年たちへの性加害が認定されています。

  ですので、知らない方が多いというのは、驚きでした。ただ、考えてみれば、当時はインターネット黎明期。また、新聞・テレビが小誌報道や、裁判で性加害が認められたことをほとんど報じませんでした。あの頃は、本件を報じた「週刊文春」を買って読まない限り、詳細を知ることはできなかったのです。

 今回も、BBCの報道を新聞、テレビは一切報じていません。あれだけ、話題のテレビ番組をすぐにネット記事にあげているスポーツ紙も見事に黙殺しています。ネットの世界では、PVを稼げるテーマとわかれば、似たような記事をいろんなメディアがすぐに追いかけます。BBCの放送を報じた「週刊文春 スクープ速報」は、ヤフーや文春オンラインで凄い数のPVを叩き出してます。ところが、一切記事にしない。そこにジャニーズ事務所の影響力の大きさを感じずにはいられません。

 しかし、今の時代はそれでも拡散します。BBCジャパンが、アップした5分ほどのダイジェストは再生数85万回(16日現在)。BBCは反響の大きさを受けて、当初下旬を予定していた日本での放送を前倒しし、18日土曜日18時10分から「BBCワールドニュース」で放送することが決まりました(ケーブルテレビやスカパー!、アマゾンプライムビデオ、Huluなどで見られます)。さらに、17日には日本外国特派員協会で、取材にあたったレポーターが記者会見も行います。

 そして、「週刊文春」でも新たな性被害の証言〈《ジャニーズ性加害》新たな元ジュニアが被害告白「13歳の僕をジャニーさんは…」〉を得ることができました。元ジャニーズJr.が取材に応じてくれたのです。性被害をメディアで語るのは初めてでした。証言は、詳細です。ジャニー氏が性的行為を行った後に現金を渡していたこと、ジュニアたちの間ではジャニー氏のこうした行為は公然の秘密であり、“デビューへの登竜門”だと思っていたこと……。

 こうした証言について、ジャニーズ事務所に事実確認と見解を求めました。近年、ジャニーズ事務所は、取材に対して何らかの回答をしてくるケースがほとんどです。たとえばKing & Prince(キンプリ)から平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太が脱退した際には、回答に加えて法的措置をとるとの警告がありました(実際に訴えられました)。しかし、今回は何の回答もありませんでした。

 ジャニー氏の姪で、藤島ジュリー景子社長は、今年の元旦、日経新聞に一面広告を出しています。

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source : 週刊文春