日本の3大会ぶりの優勝と大谷翔平選手のMVP獲得で、幕を閉じたWBC。侍ジャパンを支えたスタッフの一人が、通訳の水原一平氏(38)だった。エンゼルス・大谷選手の通訳だが、栗山英樹監督の要請で侍ジャパンに帯同され、ヌートバー選手の通訳や審判とのやりとり、データの伝達など大車輪の働きをした。
その水原氏には、大谷の前にタッグを組むはずだった“幻のパートナー”がいた。巨人、日本ハムを経て、レッドソックスではワールドシリーズ優勝も経験した岡島秀樹氏(47)である。今回、その岡島氏が、水原氏との知られざる秘話について「週刊文春」に語った。
ヤンキースをクビになり始めた自主トレを水原氏がサポート
「一平くんと出会ったのは、2012年2月、僕が仮契約を結んでいたヤンキースでキャンプインする数日前のことでした。僕の専属通訳として球団が採用したのが一平くんだったのです」
水原氏は前職を辞して、初めて野球の世界に飛び込んだ。だが、キャンプイン前日になって、思わぬ事態が起きたという。
「身体検査で異常が見つかったという理由で、僕がヤンキースをクビになったんです。僕の専属通訳になるはずだった一平くんも、一緒にクビになってしまいました」
大きなショックを受けた岡島氏だが、「俺はまだ投げられる」と、ヤンキースのキャンプ地・フロリダ州タンパで自主トレをスタート。そのとき、水原氏も一週間ほど、トレーニングをサポートしてくれたという。
「彼も、突然職を失ってショックだったと思います。それでも『練習を手伝いますよ』と申し出てくれて。ヤンキース側が取っていたホテルの期限があったので、『その後は帰るしかないですが、すみません』と。僕に対しては『なんとかメジャーに戻って、頑張ってください』と励ましてくれました」
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source : 週刊文春 2023年3月30日号