このたび文藝春秋の新社長が決まった。
古い読者の方は憶えておいでだろうか。この連載エッセイの初期によく登場していた「イイクボ青年」のことを。
当時はファックスもなく、私が原稿を書く間、彼はずうっとテレビを見ていたものだ。その彼が出世階段をかけ上がり社長就任となった。
長く作家業をやっているが、担当編集者が社長になった、というのは初めての経験である。めでたい。何かいいことがあるわけではないが、嬉しいものである。そういえば、“上から目線”で有名であった、このページの元担当者、ハトリさんは、停年退職後の昨年、作家デビューを果たした。長年の恩に報いるため、ちゃんと帯の推薦文を書いた私。そのせいとは言わないが、最初の歴史小説は売れゆきが好調で、重版となったそうだ。もう次回作も決まっているとか。よかった、よかった。
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source : 週刊文春 2023年6月22日号