戦闘が続くウクライナで、水力発電所のダムが決壊し、広い地域が浸水して犠牲者が出ています。ダムの決壊について、ウクライナもロシアも「相手がやった」と主張しています。現時点で、どちらが実行したのか確証は得られませんが、状況証拠は集まりつつあります。

 まず、このダムと水力発電所は、去年からロシア軍が占領していること、ダムは、外部からのミサイル攻撃程度では決壊しないこと、アメリカ軍の偵察衛星が、ダムのあたりで爆発の閃光を捉えていること、ノルウェーの地震計に、地震ではなく爆発による振動波が記録されていることがわかっています。

 となれば、答えは自ずから明らかでしょう。何者かが、ロシア軍が占領している水力発電所のダムの内側に大量の爆薬を仕掛けて爆発させたという筋書きが見えてきます。そんなことができたのは、どちらかということです。

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source : 週刊文春 2023年6月29日号