岸田文雄首相の最側近として政権を支える木原誠二内閣官房副長官(53)が、愛人A子さんとの間に婚外子をもうけていたと「週刊文春」が報じていた問題。A子さんの認知を求める音声の存在を週刊文春 電子版」が報じた直後、A子さんの代理人弁護士が、司法記者クラブに、A子さんの娘は、認知は受けていないが、木原氏との間に生まれたことを認める文書を送った。ただ、これまで木原氏は、A子さんに金銭を提供していないと説明してきたが、A子さんが娘は木原氏との婚外子であると認めたことにより、シングルマザーへの養育費問題に関する岸田政権の方針に反している疑いが浮上した。

木原氏の娘であることを認めるA子さんが文書

 木原氏の「愛人・隠し子疑惑」を巡っては再三報じられてきたが、木原氏はA子さんとの愛人関係、及びその娘であるB子ちゃんとの血縁関係を頑なに否定してきた。

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 ところが6月21日の午後にA子さんが代理人弁護士を通して、司法記者クラブなどに送った文書によって、その主張が覆された。

 文書は、週刊文春の「愛人・隠し子報道」へのA子さんの抗議と本件を他メディアは報じないよう要求するものだったが、そこには、

〈娘が生まれた当初、木原さんとはよくよく話をしました。木原さんは、双方のお子さんを幸せにするにはどうしたらよいかと悩みつつも、娘のために認知しようと言ってくれました〉

 と記されていた。

3枚にわたるA子さん文書

 木原氏の現在の妻とA子さんは、2014年に相次いで妊娠。木原氏は、数カ月妊娠発覚の早かった妻と入籍した。〈双方のお子さん〉を幸せにするため、木原氏は、B子ちゃんの認知を持ちかけたというのだ。

 悩み苦しみ、心が揺れ動いたと綴るA子さん。だが、こう結論を出した。

〈誰を父親とするのかは、娘が成長した後に、娘自身に決めてもらうことにしましょうと、木原さんに告げました。私は、以後、木原さんには、娘の父親としての実質的な関わりだけを求めることとし、ひたすら子育てに専念しようと決意しました〉

 A子さんは文書の中で、B子ちゃんの父親が木原氏であることを明確に認め、さらに、認知しようという木原氏の申し出を断ったと説明したのだ。

岸田政権の方針と真っ向から反する木原氏の対応

 先週号までの小誌取材に対し、木原氏はA子さんへの金銭援助について「出してないです。そんなものは。私にそんな能力はありません」と答えてきた。再度文書で質問しても、「金銭贈与等した事実はありません」と完全否定してきた。A子さんも先の文書で〈あたかも木原さんに養われていたような記事となっていますが、私は自分の力で所得を得て、また、両親や友人たちからの借入れなど助けも得ながら、生活をしてまいりました〉と、木原氏からの金銭面の支援を否定している。

 こうした木原氏の説明が事実とすれば、木原氏はA子さんとの間に婚外子をもうけながら、養育費を支払っていないことになる。これは現在、社会問題となっているシングルマザーなどひとり親家庭に対する経済的支援を巡る岸田政権の方針に真っ向から反するものだ。

 たとえば、今年3月17日の記者会見で岸田首相は、

「先日、こんな話を1人の若い女性から伺いました。結婚して子供も持ちたいが、将来、離婚することもあり得る、そのとき1人で子供を育てていけるだろうか、養育費はちゃんともらえるだろうか、そんなことを考えると、結婚に踏み切れない。まさに時代も若い方々の意識も、大きく変化していることを実感するお話でした。内閣総理大臣として、時代の変化、若い方々の意識の変化を的確に捉えつつ、時間との闘いとなっている少子化問題に、先頭に立って、全力で取り組んでまいります」

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 こう語り、シングルマザーの養育費問題の解決に向けて強い意欲を示している。さらに、

「6月13日、岸田首相が本部長を務める『すべての女性が輝く社会づくり本部』などの合同会議で『女性版骨太の方針2023』が決定されました。ここでは、ひとり親家庭への支援策として、養育費の受領率向上が掲げられています。木原氏が養育費を支払っていないなら、官房副長官自らが受領率を押し下げていることになる」(官邸関係者)

 木原氏に改めて、A子さんへの金銭援助などについて聞こうと携帯を鳴らしたが、過去2週にわたって堂々と電話取材に応じた木原氏が、今回は応答せず。事務所に書面を送付したものの、期日までに回答は無かった。

 岸田政権の掲げる政策に、最側近の官房副長官が反する行動をとっていることに対して、身内に甘いとされる岸田首相が、どのような対応をとるのか、注目される。

 6月28日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および、29日(木)発売の「週刊文春」では、A子さんが文書に綴っていた経緯、木原氏とA子さんに浮上する税金や公的助成制度を巡る新たな問題についても、詳しく報じている。

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source : 週刊文春 2023年7月6日号