列島を殺人的な猛暑が襲っている。夜間でも気温が30℃を上回る「超熱帯夜」の日も珍しくない。その影響を一番大きく受けているのが高齢女性だ。厚労省は、不眠は女性に多く「加齢とともに不眠症状は増加し、60歳以上では半数以上の方で認められます」と危機感をあらわにする。高齢女性をむしばむ病の克服法を探った。

寝すぎもリスクに

「高齢女性が不眠で悩む理由は、閉経にあります」

 そう語るのは久留米大学の内村直尚学長である。

「閉経する前後に女性ホルモンのエストロゲンが減少し、睡眠中にホットフラッシュ(火照りやのぼせる症状)を起こしてしまうので深い眠りを得られない人が多いのです」

 60代になると更年期は終わるが、女性ホルモンの減少は続く。

「プロゲステロンという筋肉の緊張を高める働きをする女性ホルモンが減少していく。すると筋肉の緊張が緩んで気道が狭くなり、就寝中にイビキをかくようになる。これによって、女性は睡眠の質が大きく低下してしまう。中年世代では、男性に多かった睡眠時無呼吸症候群が、高齢女性では増えていきます」(同前)

 2022年に学術誌『Sleep Science』に掲載された論文によると、323人の閉経後女性を対象に調査した結果、49.9%の参加者に睡眠障害がある事が判明している。

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source : 週刊文春 2023年7月27日号