集中治療科の医師9人が一斉退職することが決まり、ICU(集中治療室)が事実上の崩壊状態になる、東京女子医科大学病院。9月から移植など高度な外科手術がストップするなど、東京都民の命が脅かされる可能性が高い。取材の結果、患者の命を無視した経営方針と、職員の医師たちを恐怖で支配する女子医大の異常な実態が見えてきた。
疑惑追及キャンペーン第5弾の後編は、複数の女子医大関係者の証言によって、前代未聞のICU崩壊状態に至る内幕を告発する。(前編#5を読む/最初から読む:東京女子医大の闇 #1 #2 #3 #4)
※女子医大は教職員に対して、メディア取材に個別対応すると懲戒処分を行うと通告している。そこで本記事は個人の特定を避けるために、複数の職員の証言を区別せずに表記した。
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死亡事故の再発防止策「小児ICU」を託されたのはカナダの大学で活躍していた専門医のA氏
女子医大「ICU崩壊状態」の原点、それは、苦労して設立した集中治療科の「小児ICU」チームを8カ月で解散させた、経営陣の不可解な対応にあった。
そもそも小児ICUが設立されたのはある重大な事故がきっかけだった。2014年、当時2歳の孝祐くんが、女子医大病院の耳鼻咽喉科で手術を受けた後、鎮静薬プロポフォールを過剰投与されて死亡したのである。医師の間で情報が共有されず、責任の所在が不明確だったことなどが原因だったとされる。
第三者委員会は、再発防止策として、8つに分散していた「ICUの集約化」、そして「小児ICUの新設」(医療機関での呼称はPICU)などを提言した。女子医大はまずICUを集約化してから、次に小児ICUの設立に向けて動いた。
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source : 週刊文春