医師はふつう新しい薬を処方したがるが、薬は古いものがいいこともあるらしい。症状によっては効き目が穏やかなもののほうがよかったり、古い薬のほうが副作用のデータが豊富だったりするからだ。ベテラン臨床医が長年使ってきた「安くて効く薬」を一挙公開。
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一般的に、どんな製品も新しいものほど優れていることが多い。だが、薬に限っては必ずしもそうではないという。
EBM(科学的根拠に基づく医療)の実践家として知られる武蔵国分寺公園クリニック院長の名郷直樹医師はこう話す。
「どんな新薬も、効果効能を臨床試験で示せれば、国から承認されて販売することができます。そして従来の薬より優れているとされれば、医者の多くが使いたがり、古い薬は見向きもされません。
しかし問題は、長期の成績は時間がたってみないとわからないということです。例えば、高血圧や糖尿病の新薬は血圧や血糖値が下がれば承認されますが、真の目的である心筋梗塞や脳卒中といった病気をどれだけ予防できるのか、その実力は時間がたってみないとわかりません。
それに市販後、実際に何百万という人が使ってみないと、どんな副作用が出てくるかわからない。その点、古い薬は効果も副作用もデータが豊富なので、安心して使いやすいのです」
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source : 週刊文春 2018年6月7日号