シャンパンタワー、色恋営業、アフターに同伴。まったく無縁だと思っていたホストの世界。職業的興味から足を踏み入れると、なんともきらびやかな空間が広がっていた。30歳既婚、そんな私がホストにハマった理由とは。

「メイク変えた? かわいいね! 今日は来てくれてありがとう!」

 アメリカの高級ブランド「クロムハーツ」のトレーナーと細身のジーンズに身を包み、イタリアのこれもまた高級ブランド「PRADA」の黒いスニーカーを履いた男が耳元でささやく――。

 

 国内最大級の歓楽街・歌舞伎町。道路脇には大量のゴミ袋が無造作に積まれ、ゴキブリやネズミが走り回っている。そんな猥雑な雰囲気の中、雑居ビルのエレベーターの扉が開くと、きらびやかなシャンデリアが足元を照らし、白基調の大理石風の床が広がっていた。

 まるでおとぎ話の城のような空間で、私を出迎えたのは、俳優・間宮祥太朗似のタケル(仮名)だ。

 この26歳のタケルこそ、私の“担当”だ。ホストクラブで担当とは、客が指名しているホストで、特別な事情がない限り、一度指名するとそのホストがずっと接客する決まりだ。

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source : 週刊文春 2023年8月10日号