10年ほど前、NHKの「タイムスクープハンター」という歴史番組の時代考証に携わったことがある。要潤さん演じる未来人がタイムスリップして、過去の庶民生活の様々な事象を紹介するというスタイルの、ちょっと変わった教養番組だ(2009〜15年放送)。放送当時、この番組が注目されたのは、とくに細部のリアリティーへのこだわりだった。

 たとえば、江戸庶民に注目した回では、演じる男優さんはみなカツラではなく、本当に地毛を剃って髷と月代(さかやき)を作り、女優さんは本当に眉剃りをして、歯にお歯黒を塗った。しゃべるセリフも極力当時の言葉遣いを再現し、外国映画のように字幕までつけた。

 さらに浅黒く日焼けした庶民の皮膚感を出すため、俳優さんの顔や肌には赤茶色のファンデーションに泥を混ぜたものを塗り、迫力を追求した。こういう作業を業界用語で「汚し」と言う。たまたま撮影現場を見学にいった僕もエキストラとして出演したことがあるが、身体じゅう真っ茶色にされ、風呂に入ってもなかなか色が落ちず辟易(へきえき)させられた。

初回登録は初月300円でこの続きが読めます(月額プラン)。
年額プランはキャンペーン中!

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

キャンペーン終了まで

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

    6月26日~7月9日10:00まで
    期間にご購読いただくと抽選で
    20名様にAmazonギフトコード3,000円分をプレゼント!

    期間限定

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2023年8月31日号