日本史のなかでもとりわけ地味な室町時代の研究なんぞをしている僕が、こうして大勢の人の目にとまる華やかな場に顔を出すようになったのは、すべてノンフィクション作家の高野秀行さんとのご縁がきっかけである。高野さんは、アフリカの紛争地帯やミャンマーの麻薬密造地帯など、世界の辺境地域に体を張って潜入し、それをユーモラスな文章で紹介することで知られる人気作家だ。
あるとき2人は共通の知り合いである編集者さんの紹介で出会ったのだが、世界の辺境地域と室町時代という全く噛み合いそうにない分野にもかかわらず会話は盛り上がり、調子に乗って対談本を出版することにまでなった。それが、“天下の奇書”『世界の辺境とハードボイルド室町時代』(集英社文庫)である。
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source : 週刊文春 2023年9月7日号