「社中協力」――。創設者の福沢諭吉は、在学生や教職員、そして卒業生の「オール塾生(=社中)」による相互扶助を説いた。そんな福沢の教えを体現するのが、日本最強の同窓会組織「三田会」である。
甲子園決勝でも、アルプススタンドを埋め尽くした慶應OBたち。彼らの多くが三田会の会員だ。会員数は実に約40万人に及ぶ。
「総合商社やメガバンクなど大企業の社内三田会をはじめ、卒業年度、地域ごとに880を超える関連団体が存在する。複数の三田会に所属することも可能で、人脈を広げられる。これまでは、帝国ホテル地下に会員のみが利用可能なラウンジもありました。9月以降は銀座のビル12階に移転します」(慶應関係者)
各所に張り巡らされたコネクションに加え、他の大学OB会と大きく異なるのは、その豊富な資金力だ。
「昨年度の事業報告書によれば、慶應の寄付金収入は約62億円。2020年度はコロナ関連の寄付金が多数集まり、112億円に上りました。その大半が三田会メンバーによるもの。ちなみに20度の早稲田の寄付金は33億円ですから、トリプルスコアです」(同前)
一体、誰がそんなに巨額のカネを寄付しているのか。寄付者の名前が毎月掲載されているのが、慶應の機関誌『三田評論』。同誌によれば、毎年のように億単位の寄付を続けるのが、サントリーホールディングスの佐治信忠会長だ。21年には日吉施設整備資金として2億円、20年にもコロナ禍の医療支援資金として1億円を寄付していた。
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source : 週刊文春 2023年9月7日号