南北朝時代のヒーローとして、いまだに歴史ファンに人気が根強いのが、楠木正成だ。鎌倉幕府の大軍を向こうにまわして河内(かわち)国(大阪府南部)の小さな山城に立て籠もり、智謀の限りを尽くして攻め手を翻弄し、後醍醐天皇の政権を打ち立てるのに大きな功績を残す。しかし、足利尊氏が後醍醐から離反すると、彼の起死回生の献策は容れられず、最後は不利を承知で尊氏に戦いを挑み、壮絶な討ち死にを遂げる。知恵と勇気を兼ねそなえた悲運の人。戦前は“忠君愛国”の理想像とされたキャラクターである。
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source : 週刊文春 2023年9月28日号