日本が誇る名優が、また一人この世を去った――。俳優の財津一郎氏が10月14日に慢性心不全で亡くなった。享年89。実は「週刊文春」の記者は生前の財津と親交を深めていた。知られざる交流を描いたルポの後編をお届けする。(前編を読む

◇◇◇

 財津は、家族をこよなく愛する家庭人でもあった。中でも記者の印象に強く残っているのは妻のミドリさんとのやり取りだ。2019年、ミドリさんは自宅で転倒して骨折。老々介護の切実な現実も赤裸々に財津は、語ってくれた。そして、記者にこう語りかけた。

「ママと写真を撮りたいんだ。撮ってもらえる?」

 突然の夫の提案に、みどりさんははにかみながら「いいわよ~」と首を振って、断ろうとした。

財津一郎と妻 記者撮影

「いいんだよ。ママもこんな機会ないんだからさ」

 財津はそう言ってゆずらなかった。夫に促され、記者が写真を撮った。後日、引き伸ばして自宅に郵送すると、財津から電話がかかってきた。

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source : 週刊文春