あれは俺が中学生の頃のことだ。同じクラスに吃音の女の子がいた。隣のクラスの連中が、うまく言葉が出てこない彼女を、「ちゃんと喋れよ」などと小突いているのを俺は目にした。その様子に怒りを覚えた俺は、そいつらのもとに「殴り込み」をしに行ったことがある。弱い者いじめをする奴らがどうしても許せなかったからだ。
その日、いま振り返れば「どうしてあんなことになったのか」と思うけれど、大げんかになった末に、俺たちは全員が顔をはらして保健室に連れていかれることになった。クラスメートがいじめられているのを見て、俺もすっかり頭に血が上っていたんだろう。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル