家族でも、親友でも恋人でも、同僚でもない。この絶妙な距離感と、カウンセリングやショッピング中に共に過ごす長い時間がそうさせるのか、時々、お客様から想定外の依頼を受ける事があります。
コロナ禍真っ只中、長年のお客様だったご夫婦の、ご主人の訃報。お葬式ができないので、ご自宅にある所蔵品の数々を親しい方々に見て頂くための、ルームツアー動画製作の依頼でした。自宅に人を呼ぶのが好きだったご主人はワイン会社を経営され、多趣味で、陶磁器、アート、音楽に精通し、エルメスなどの洋服を愛用されていました。こちらを彼らしいコーディネートでマネキンに着せて家中に点在させ、その面影を皆様に感じてもらえるようにしてほしいと言われて初めて「あ、確かにそれは私への発注だな」と理解しました。
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source : 週刊文春 2023年12月7日号