タカラジェンヌの死から2カ月あまり。ようやく決まった宙組全公演中止のウラには劇団を牛耳るドンの意向があった。そして、その妻は時にトップスターの人事にまで口を出すという。独裁夫婦の下で劇団の改革は進むのか。
大阪・梅田芸術劇場には“モノ言う株主”たちが集まっていた。
「わが阪神タイガースの監督に岡田さんを招聘していただき、心よりお礼申し上げます。サステナビリティとして、アレを持続的に実現してほしい」
6月16日、阪急阪神ホールディングスの定時株主総会。今年の流行語大賞「アレ」(優勝)を交えてエールを送られたのは、会の議長を務める、角和夫会長(74)である。「生ビールワンコインナイターをもう1回やって欲しい」など、虎党からの相次ぐ“愛の叫び”に、角氏も思わず頬が緩む。会はこのまま無風で終わると思われたが……。
「劇団として力の勾配があるのは事実。ハラスメントが発生しやすい構造がある。研修を行わないのですか」
タイガースと並ぶ、グループの象徴・宝塚歌劇団について質問が及ぶと、角氏は表情をこわばらせた。宙(そら)組の劇団員・有愛(ありあ)きい(享年25)が自ら命を絶ったのはそれからわずか3カ月半後のことだった――。
12月1日、宝塚大劇場で雪組公演が再開した。ここで最後に公演があったのは2カ月前、有愛も舞台に立った宙組公演だった。
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source : 週刊文春 2023年12月14日号